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打上げと飛行のあらまし
モデルロケット活動は、次のようなプロセスがある。
- 設計・製作
- 市販キットを購入し(自作ロケットを設計し)モデルロケットを組み立てる
打ち上げ準備
- 機体の各部分を点検整備し、回収装置やエンジンを取り付け、発射台にセットする
点火
- 安全な位置から遠隔操作でエンジンを始動する
- 動力飛行
- 高温高圧のガスが噴射してロケットが加速される
- 慣性飛行
- エンジンの推力で得た速度の惰性で上昇する
- エジェクション
- エンジンの逆噴射でパラシュートが押し出される
- 減速降下
- パラシュートの空気抵抗でゆっくり降下する
- 回収(着地)
- 地上に軟着陸した機体を回収する(モデルロケットは何度も繰り返して打ち上げ出来る)
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部品と構造
- 1.ノーズコーン
- 機体の最先端部分。 軽量のプラスチックか木材(バルサ)で出来ている。
- 2.ショックコード
- ノーズコーンとボディーチューブ、パラシュートをつなぐゴム製のヒモ。パラシュートの開傘ショックを吸収する。
- 3.シュラウドライン
- パラシュートを大きく開き、風をはらませるための糸。絡まず強い糸を使う。
- 4.パラシュート
- 空気抵抗を利用して、モデルロケットの降下速度を減速するためのプラスチックスの膜体。
- 5.ショックコードマウント
- ショックコードとボディーチューブを固定する部分。紙を何重かに巻いて接着剤で固定。
- 6.ボディーチューブ
- 内側に難燃処理をした、紙筒。打ち上げの加速(G)に耐える強度が必要。内側にパラシュートやエンジンをセットする。
- 7.フィン
- 空気力によってロケットの姿勢や、飛行方向を安定させるための尾翼。厚紙かプラスチックス、バルサ材(南米原産の超軽量木材)を使う。
- 8.エンジンフック
- モデルロケットのエンジンを機体に固定する金具。唯一金属を使っても良い。
- 9.ランチラグ
- 発射台のガイドロッドに取り付けるための小さな紙パイプ。
- 10.エンジンマウント
- 機体にエンジンを取り付けるための紙製パーツ。
- 11.スペースリング
- エンジンホルダーチューブとボディーチューブ内径をあわせるための紙リング。
- 12.ルートエッジ
- 尾翼のボディーチューブへの取り付け側。
- 13.フィンチップ
- 尾翼の先端部。
- 14.リーディングエッジ
- 尾翼の前縁。滑らかに丸くすることで空気抵抗を減らせる。
- 15.トレーリングエッジ
- 尾翼の後縁。鋭く薄く削ることで、空気抵抗を大幅に減らせる。
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エンジンの構造と飛行段階
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動力飛行
- プロペラント(推進薬)が燃焼すると、エンジンの燃焼室内に高温高圧のガスが発生する。このガスはエンジン後方に設けられたノズルより超音速に加速されて、噴射する。この噴射の反作用で得られた推進力により、機体は上昇を開始する。
- 慣性飛行
- モデルロケットは、プロペラント燃焼終了時に最大の速度を得る。ディレイチャージは航跡煙を出す役割と、ロケットが慣性飛行を続ける時間を作る役割がある。この時間をディレイタイムという。
- エジェクション
- ディレイチャージからエジェクションチャージ(放出薬)に燃焼が移ると、エンジンの前方側にあるクレイキャップを吹き飛ばして、前方側にガスが放出される。この圧力によってノーズコーンが外れ、ボディーチューブ内に収納されているパラシュートなどの回収装置が、前方に放出される。
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推進器仕組
- エンジンレイトコード(3つの記号で表す)
- 1.トータルインパルス
- 燃焼持続時間中にエンジンが出す推力を合計したもの。Aを2.5ニュートン秒として、2倍になる毎にアルファベットをあてて表現する。(A=2.5→B=5.0→C=10.0)
- 2.平均推力
- トータルインパルスを燃焼持続時間で割った値。固体ロケットエンジンは推力が一定ではないので平均推力として便宜的に推力を扱う。単位はニュートン。平均推力が大きいものは瞬発力が高く短い時間に大きな質量を加速できる。トータルインパルスが同じなら、平均推力が小さなものは、軽量の機体を長時間加速できる。
- 3.ディレイタイム
- プロペラント(推進薬)が燃焼終了してから、エジェクションまでの時間。この時間で慣性上昇する距離が変化する。製作後初めての打ち上げする機体には比較的短いディレイタイムのエンジンを使う。この数字が大きいものは多段式で最終段に使うエンジン(紫ラベル)。0のものは多段式のブースター用エンジン(赤ラベル)。
- エンジンの各部分
- 4.エンジンケース
- 推進薬やノズルなど複雑な構造を収めるケース。モデルロケット用のものは薄い紙を何重にも巻いて作ってあり、ショックや熱に比較的強い。また爆発せず穏やかな燃焼が進むように工夫がなされている。
- 5.エンジンノズル
- 噴射ガスの圧力や高温に耐えるよう、また保管時の熱や湿度の変化に耐えられるよう粘土を焼き固めて整形してある。この部分からイグナイター(点火用具)を差し込んで、エンジンを始動させる。
- 6.スロート
- 燃焼室で高圧高温になったガスが、効率よく加速され、超音速で噴射させるため、いったん絞ったあとなだらかに広げてある。このラバールノズルの形状は本物の宇宙ロケット原理と同じ。
- 7.燃焼室
- 固体ロケットは液体エンジンの様に推力をコントロールするバルブはないが、燃焼室の形状によって推力特性をコントロールする。モデルロケットの場合は端面燃焼方式とセミコア燃焼方式がある。
- 8.プロペラント
- 推進薬は小型ものは花火と同じ黒色火薬、ハイパワーロケット用がスペースシャトルSRBと同じコンポジット燃料が使われている。爆薬は一切含まれていないので穏やかで安全な燃焼をする。
- 9.ディレイチャージ
- 推進薬燃焼終了後、エジェクションチャージ(放出薬)が作動するまでの間ロケットが慣性上昇時間を与える。燃焼中は航跡煙が出るものもある。
- 10.エジェクションチャージ
- モデルロケットが所定の高度に達したとき、エンジンを逆噴射させて、パラシュートなどの減速装置を放出作動させる。
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運動法則
モデルロケットの運動は宇宙ロケットと全く同じように物理法則が成立する
- 慣性の法則
- 静止あるいは等速度運動中の物体は外力が加わわらないかぎりその状態を続ける
- 質量・力・加速度の法則
- 物体の加速度は、加わる力の大きさに比例し、物体の質量に反比例する
- 作用反作用の法則
- 全ての力には、大きさが同じで方向が正反対の力が存在する
モデルロケットは、これらの物理法則を
楽しく実感のあるものとして身につけることが出来る魅力がある
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空気力学
モデルロケットをより高く、より速く飛ばすためには、航空力学の知識が味方をする。
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安全規則(セーフティーコード)
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モデルロケット安全コード |
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- 世界共通のモデルロケットの安全ルール。
- 最小のエンジン1/4Aから、H型エンジン未満の最もポピュラーなロケットに適用されます。
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ハイパワーロケット安全コード |
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- 世界共通の大型ロケットの安全ルール。
- H型エンジン以上のエンジンを使う大型ロケットに適用されます。
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日本モデルロケット協会自主消費基準 |
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- 日本でD型エンジン以上を使うためには、各都道府県知事の許可が必要です。
- その技術基準を補うために日本モデルロケット協会が制定した基準。
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TIPs
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